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風祭文庫・頂き物の館

風祭文庫の頂き物なども納める書庫です

頂き物・第2話「転入生(ライバル)」

第2話「転入生(ライバル)」

 4月。その日沼ノ端高校では始業式が行われる。
 杏はクラス替えを行った。
 その日の早朝、杏は自主練のため沼ノ端高校のプールに早く来ていた。
 「…ふう。今日から練習を考えないと」
 杏は今日から2年生となる。1年生の練習のメニューも考えたりするのが新たな仕事となる
 「まずは泳いでから考えるか。」
 杏は制服を脱いでブーメランパンツ1枚になり、プールのカギを開けた。

 すると、プールの水を勢い良く張り上げて、1体の筋肉の塊が現れた。
 『競パンマン参上!

 どっちが上で、

 どっちが下か貴様達には判るまいっ』
 杏の目の前には、顔面を黒いシリコンキャップで覆い、ゴーグルをつけ、そしてビキニパンツをもっこりさせた
 沼ノ端のご当地ヒーロー・競パンマンであった
 「…朝からなにやってるの、咲子」
  杏は半ばため息をついていた・。
 『ごめんね、今日から新学期で、杏だったら早く来ると思って、プールに早く来て隠れてたの。』
 実は沼ノ端高校のプールと沼ノ端市内のプール、そして咲子の家の地下と端の湖はつながっており、おそらく
そこから入ってきたのだろう。
 『制服はちゃんと完全防水のスーツケースに入れて持って来てるから、普通に変身解除して始業には出れるんだ』
 競パンマンはプールサイドにスーツケースを置く 


 『杏、また一緒のクラスだね。よろしく」
 そう恥ずかしそうに言う競パンマン。
 「咲子、春休みはどうだったの?」
 杏は咲子に聞いてみる。
 『うん…こっちもいろいろとあったけど。』
 競パンマンは恥ずかしそうに答える。おそらく春休み中に競パンマンの姿で何かあったのだろう。
 『じゃあ、あたしは女の子の姿るから』
 そういうと競パンマンは女子更衣室に向かった。

 数十分後。
 杏は一人で練習メニューをこなす。
 プールの壁に手を付け、プールサイドを見るとひとりの女子生徒が立っていた。
 「お久しぶりね、杏。」
 美緒だ。
 だが、今日の美緒の衣装はどこか変だ。
 青を基調にしたセーラー服の上とブーツだが、下はスカートではなく、
 男子の競泳パンツだ。
 「その恰好、どうしたの?」
 杏はおそるおそる問いかける
 「まあ、いずれあんたとはこの格好で何かやると思うから見せておくけど、
 今のあたしはセーラー・マーキュリーとでも言っておこうかしら」
 やや不格好な水の戦士は顔を赤らめていた。
 「まったく、イメージトレーニングでもしようと思ったのに、この変態。
 あと、あたしとあんたまた同じクラスだからよろしくね。」
 水の戦士は顔を赤らめながら女子更衣室に去って行った
 「やっぱり春休み中になんかあったんだな。まあ、ボクもだけど。」
 杏はひそかにため息があった。

 その数十分後、授業の開始時間の近く、プールにはまた別の男子生徒が来ていた。
 「(だれだろう。見かけないな)」
 その男子生徒は一見華奢な女の子にも見える。
 「(転入生かな・・・・)」

 始業式が終わり
 杏のクラスの担任・水泳部顧問の体育教師の美奈子が紹介をする。
 「転校生を紹介するぞー!」
 目の前にいたのは、プールに来ていた男子生徒だった。
 「竹沢琴美です。水泳部に所属していました。今日からよろしくお願いします。」
 琴美はクールにそういうと、杏の近くに座った。
 
 ホームルーム終了後、案の定琴美は他のクラスの女子生徒からもてていた 
 「木之下君もかわいくてかっこいいとおもったけど、竹沢君もカッコいいよね」
 「竹沢君も水泳部ってことは木之下君のライバルかな?」
 女子たちは琴美を質問攻めにする。

 一方で琴美は杏に声をかけた。
 「木之下杏くんだね。今日の練習の後にでもちょっと話をしないかい?」
 琴美はどこかさわやかそうに見えた。

 水泳部の練習では、2年生のほかに、入部希望の1年生も何人か来ており、
その中には青葉の姿もあった。
 「これが新入りの青葉君か。君が目をつけるだけのことはあるね」
 琴美は杏にそういった。
 琴美は華奢ではあるが、筋肉は十分につき、杏たちとは色違いのブーメランパンツをもっこり
際立たせていた。
 「言い忘れてたけど、ボクは結構着やせするみたいなんだよね」
 「水泳部らしいいい体つきだね」
 杏はひそかに思っていた。
 「おっ、木之下、なんだ、こいつがうわさの転校生か。」
 杏の悪友・涼介が杏と琴美の前に来る。
 「今は練習中だよ。君はもっと静かにしたほうがいい」
 琴美は涼介をけん制する。

 さて、練習終了後、琴美と二人のこった杏。
 杏は
 「いきなり悪いけど、琴美は女の子だったんだよね」
 杏はこういった
 「…そう。たぶんあなたも女の子よね。」
 琴美は女言葉で答える
 「…うん。女言葉は封印してるけど、ボクが男の子になったのはちょうど3年前。」
 杏は製薬会社の事故の話をした
 「あたしが男になったのは半年前。女子水泳部の先輩と対決して、負けちゃったの。
そうしたら罰ゲームで、男物の競パンをはかされて。気が付いたら、そのまま男の体になっちゃったの」
 「それでしばらくは同級生と一緒に男子水泳部で泳いでいたんだけど、先輩が競パンに男になる薬品を
仕掛けていたことを知って、それがどうしても許せなくて、先輩に文句を言いに行ったの。」
 「それで男子水泳部にも居ずらくなって、水泳をあきらめられなかったあたしは転校することにしたわけなの。」
 琴美は少し悲しそうに語った。
 「男子水泳部に半年ぐらいいたからね。あたしもけっこうイケメンでとおってたし、杏ちゃんには負けないと思うけどね。」
 琴美は嬉しそうに言った。
 「なら、一緒の元女子の男子水泳部同士仲間だってことじゃない。ライバルでもあるんだろうけど。」
 そういうと杏と琴美は友情を確認しながら再び泳ぎだした。

                  
 一方その頃。
 「まったく、お前は始業式の終わった後から勝手に変身させおって」
 「でもまあ、始業式の後から悪さをする不埒なやつにはこの程度が似合っておるかの」
 そこにはセーラー・マーズに変身した柵良美里と、セーラー・マーキュリー姿の美緒、そして競パンマンがいた。
 彼ら3人に占められて伸びているのは紛れもない唐渡であった。