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風祭文庫・頂き物の館

風祭文庫の頂き物なども納める書庫です

頂き物・第8話「母子家庭」


 ある冬の夜-
 この時期に大雪が降ることは珍しかった。だが、大雪の中で、
しかもビキニパンツ1枚でパフォーマンスをする二人の黒人筋肉男がいた。
 筋肉男はオレンジ色と水色のビキニパンツを身につけ、
二人でポージングからスタートし、二人で格闘と思われる、
この雪の地には似つかない、アフリカの部族のものを彷彿とさせる格闘まで行った。
防寒対策を十分にしてきた観客に比べるとこの二人は寒さにびくともしないようだった。
やがてパフォーマンスは終了し、観客達がぞろぞろ帰って行った後、パフォーマンスの企画者から
二人の黒人筋肉男、いやアフリカの中でも1、2を争う屈強な部族、ヌバとしておこう。
彼らにギャラとしていくつかの札束をわたすとともに、ビキニパンツの中のおひねりをすべてもらっていいと言うことだった。
 
 雪の中をビキニパンツ1枚で歩くヌバ二人。
 オレンジ色のビキニパンツの男がこういった。
 『ママ、今日も稼いじゃったね。』
 水色のビキニパンツの男がこう答える。
 『ええ、佳奈子ちゃんのおかげでこんなよ』
 そう、二人の屈強な男は元々は母と娘だった。
 この母、本山沙織と本山佳奈子、この二人は大量の借金を返すためこの姿でパフォーマンスをしていた。
 『給食費を差し引いても借金返済にはなんとか回せるし、もう少しで借金が返せそうよ』
 沙織は白い歯を見せながら笑った。
 『ママと一緒だとどんな姿でも安心。しかもこの姿だと寒くないし。』
 『ええ、あなたには苦労させたくないしね。この姿をのぞいては…』
 沙織は過去のことを思い出す。

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この地より離れた場所で母子家庭で育った沙織。
家は貧しく食べるものはおろか、水にも困るほどであった。
それどころか彼女の母親は常に男を渡り歩いては借金を重ね、
その男ともども沙織を虐待して歩いていた。
 中学校を卒業して沙織は家を飛び出し、この街に来た。
生活費を稼ぐために様々なバイトを始めるも悪い男に引っかかっては巻き上げられ、
ひどいときにはレイプされてしまったのだった。

 そして、レイプからの妊娠、妊娠しても堕胎する金もない。
仕方がないので佳奈子を産んだ。それが10年前の今日だ。
それから何回も彼女のことを捨てようと思ったが、愛着がわくと彼女とともに
強く生きていこう、そう思いバイトに明け暮れる。
 だが、バイト先に一人の男がやってきた。
 「本山沙織さんですね。」
 男はグラサンをかけたヤクザのような男だった。
 そして、男が沙織に渡した名刺にはこうかかれていた。
 「かうかうふぁいなんす」と。

 -かうかうふぁいないんすに案内された沙織、
 底の社長、宇師嶋薰という男-ヒゲずらに眼鏡をかけた人相の悪い男だ。
 「あんたの母親が作った借金が相当かさんでてね。もう国家予算ぐらい。」
 宇師嶋は沙織に告げた
 「ちょうど、あんたを連帯保証人にしていてね。あんたに払ってもらおうと…」
 宇師嶋は強面で沙織に詰め寄るが
 「そんな金、ありません!」
 沙織は強く答えた
 「払えないんなら、体で払ってもらおうか!」
 宇師嶋はそう言いながら笛を吹いた
 そこに、二人のビキニパンツをはいた黒人筋肉男が現れた。
 「そいつを地下に連れて行け!」
 宇師嶋はそういうと沙織を地下室に連行した。

 地下室。底には怪しげな呪術の道具がたくさんあった。
 そして、底には黒人の呪術師がいた。
 呪術師は怪しい呪文を唱え出す…
 すると、
 沙織の体はどんどん大きく、そして黒くなり、胸やおしりは平らになり、さらに手足の筋肉が発達し
長さも伸びていった。胸板は張り出し腹筋も五つに割れた。そして股間からは巨大なペニスと抗がんが出現した。
髪の毛も抜け落ちてしまった。
 
 沙織はまさにヌバ族の男になってしまった。
 怪しげな部族の踊りをしながら、沙織のペニスはどんどん大きくなる
 「お前は今日から、ヌバになるのだ」
 異次元への扉が開かれようとした。
 「いや、あたしは娘を守る。娘を守るって決めたもの!」
 そういうと沙織は扉から去って行った。
 「そうか、ならばここにいる二人の男をたおすがよい!」
 呪術師はそういった。
 そして、沙織は彼女を連行した二人の筋肉男に向かっていった。
 とにかく勝つ、娘を守る。そういう思いだけを胸に
 どれぐらいの時間がかかったのか、ぎりぎりで男二人を倒すことができた。
 「よくわかった。お前の根性は見抜いたぞ」
 そう言ったのは宇師嶋だった。
 「よくわかった。お前はその姿で俺のボディガードかつモランの戦闘員として生きろ。」
 「これはお前に渡す」
 そういって宇師嶋は沙織に水色のビキニパンツを渡した。
 「それと、今日の試合は面白かったからギャラだ」
 そういうと宇師嶋は札束の入った封筒を渡した。
 その中の額は通常の会社員であってもとても稼げるような額ではない大金だったが、それでも借金返済には
 焼け石に水程度だった。
 「その中のいくらかは生活費に充てていいが、きちんと返済することと娘をきちんと守ること、それが
 俺がお前に課す条件だ。」
 宇師嶋はそう言い残した。
 そして、屈強な男に後ろからつつかれると、沙織は元の女性の姿に戻った。

 それから最低限のアパートを借りて娘と住み、戸籍も取得した。
 そして、ヌバの男に変身して宇師嶋や裏社会のボディガードをやったほか、各種興行で順調に借金は返済していた。

 そして、佳奈子が小学校に入学した頃…
 佳奈子には他の子が着るようなきれいな服は着せられなかったが、
 それでも借金返済して最低限佳奈子の服だけはそろえた。
 寒い冬は佳奈子には布団を与え、自分は筋肉男に変身して寒さにしのぐ…そういう日が続いた。

 だが、ある夜に沙織が着かれて家に帰ると、本来であればいるはずのない存在があった。
 それはまさに沙織が変身したヌバ族の屈強な黒人筋肉男。
 『ママ…あたし、こんな体になっちゃった』
 「佳奈子…どうして。」
 沙織は絶句した。
 『ママがこの格好でねてるのずっと知ってた。あたしに服を着せて、自分はこんなかっこうになって…』
 姿は筋肉男になってもしゃべり方は小学生の女の子のままだ。
 『いいのよ…あなたにはこんな姿になってほしくなかったけど…』
 そういうと沙織は佳奈子にオレンジ色のビキニパンツを渡した。

 それからは佳奈子も沙織も二人分のギャラをもらえるようになり、さらに順調に借金を返済していった。
そして、佳奈子が10歳になる誕生日の興行で借金が返し終わる。

 そして、二人は宇師嶋の元に行った。
 「これで借金は完済。もう自由の身だ。だが、お前達にはまだやってもらいたいことがある」
 そう言うと横からとてもヤクザとは思えないスーツ姿の男がやってきた。
 「地獄の獄卒長の大岩ともうします。あなた方には是非協力していただきたいのです。」

 佳奈子と沙織は少し戸惑いながらも、この依頼に了承するのであった。